東京都足立区大谷田にあります《宗教法人福寿院》は、寺院経営(宗教活動)を通じて、ご信仰の大切さを広めていきたいと考えております。

 

お盆について

 

お盆の供養について

お盆の供養について
 
お盆とは: インドの古い言葉でウランバナを音写しては盂蘭盆会(うらぼんえ)逆さに吊るされる苦しみを意味しています。お釈迦様の弟子の神通第一の目連尊者が、自分の母親が三界萬霊の欲の世界の中にある餓鬼道に堕ちて苦しんでいるのを自らの神通力で見通し、お釈迦様に相談したことに始まっています。餓鬼道に堕ちた母親は飢えにより無残な細い体になり、目連尊者が自らの神通力で食べ物を施しても、喉に通るとき焔(ほのお)に変わり苦しみ続けました。お釈迦様は、(7月15日に修行から戻ってくる仏・法・僧に帰依する僧侶たちに百味の飲食(おんじき)を供えて供養しなさい)と言われました。衆僧たちが広く餓鬼道に堕ちて苦しんでいる者たちを供養して母親も救われました。それ以来お釈迦様に諭(さと)された目連尊者と佛弟子達は、餓鬼道に堕ちた七世の父母(亡くなった七代先までの両親)を十方の衆僧に施しをして供養するようになりました。これが伝わり、日本の祖霊信仰と融合し、お盆の供養として全国で行われ、日本の風習として根付いて行きました。
目連尊者の母親は生涯他人を思いやる事がなく、惜しみの気持ちが強かったため餓鬼道に落ちてしまいました。その世界の者を広く救わなければ自分の母親だけを救うことは出来ない(周りの人間が幸せでなければ、自分だけ幸せになる事は出来ない)お釈迦様の佛教理念が表れています。2,500年前のインドの人々を諭すことが出来たお釈迦様は、偉大な方だった事が分かります。日本の先祖信仰や故人に対する供養も、もしお釈迦様が見られたら私たちを諭されるかもしれません。。私たちも、他の世界で苦しんでいる人々のために祈る心、他人を思いやる心をもう一度見つめ直し、先祖や故人の精霊を迎えもてなす事が,大切なお盆の供養に繋がって行くと言えるでしょう。
期間: 東京にお住まいの方は、基本的に7月13日~15日、もしくは16日までの間を東京盆と言います。地方や都内でも練馬区・足立区・葛飾区・江戸川区辺りの一部では旧暦で行う習慣があり旧盆と言って、8月13日~15日もしくは16日の間に行います。お住まいの地域に合わせるか、ご実家等の習慣に合わせて決める必要がありますが、一度決めたら毎年同じ月に行なうようにして下さい。お盆中地方に里帰りされる方は、7月の東京盆に行うとよいでしょう。
新盆供養とは: (しんぼん又は、にいぼん)と呼び、 故人の葬儀から49日忌法要も終わり、最初に迎えるお盆の事です。迎え火を焚き、その火を白無地の新盆提灯に灯し、玄関や軒先に吊るし住職を迎えお棚経(おたなぎょう)にて、お仏壇の前に精霊棚を作り供養します。
当山では、古くから新盆供養をお施餓鬼(大施餓鬼会)にて合同で行っておりますので、ご親族の方々はご出席頂くようお願い申し上げます。
 
お迎え火
【迎え盆】 7月の東京盆も8月の旧盆も13日は迎え盆です。この日はご先祖様や故人が道に迷わないように、住んでいた家まで導かなくてはなりません。夕方に故人の家族や親戚が集まり、お墓や自宅前、川原でほうろく(素焼きの皿)・麻幹(おがら)又は箸木(はしのき)を用意し、迎え火を焚きます。この時、精霊棚に飾るナスやキュウリで作った牛や馬を迎え火の近くにおいて火をつけます。焚き終わる頃、提灯に火を移し家の中の精霊棚のロウソクや燈籠にその火を灯します。
新盆の家は迎え火が焚き終わる頃、白無地の新盆提灯にその火を灯し、、家の中の精霊棚のロウソクや燈籠にその火を灯します。そして白無地の提灯は玄関前や軒先に吊るします。外に吊るせないお宅は、窓際に吊るし外から見えるようにするとよいでしょう。これらはお盆の時期になると、ホームセンターやスーパー等で売られています。
 
【送り盆】 16日は送り火を焚きます。また、15日に送る地域や家もありますが、夕方暗くなってからに送る習慣があります。
提灯に精霊棚の火を灯し牛や馬を持って行き、お墓や自宅前、川原で送り火を焚きます。送り火は迎え火と全て反対に行います
新盆の家は、白無地の提灯も一緒に燃やすしますが、燃やさずにお寺の本堂の前(浜縁)に置いて行く習慣もあります。当山では届けられた新盆提灯は、毎年お施餓鬼の時に施餓鬼壇の下に入れて供養致します。
送り火と精霊流し:地域によって送り火は精霊流し(燈籠流し)や京都の大文字焼き長崎の精霊船など、大勢の人たちが集まって行う所もあります。当山がある地域でも昔は家族で集まり川原へ行き、送り火を焚き精霊棚を飾った道具やお供え物を全て川に流していたそうです。(今は流さないようにお願いします)
 

精霊棚の飾り方

精霊棚の飾り方
 
お盆の精霊棚は、地方では特別にあつらえた物を毎年使いますが、都内ではほとんどお仏壇の前にテーブルや経机等を出して代用します。青竹や笹(園芸用品等で代用品を購入し、ひも・テー等で留める)を四隅に立て、その上を真菰縄で結びます。これは、ご先祖様(故人)の霊以外は入れないための結界になります。真菰縄には鬼灯(ほおずき)や昆布・若布・そうめん・狗尾草(えのころぐさ➞猫じゃらし)などを吊るして飾り付けます。鬼灯は盆提灯に見立て、様々な飾りつけでご先祖様が精霊棚の中に間違いなく入って下さるよう(招き入れるため)このような飾り付けを致します。浅草でほおずき市がお盆の直前に開かれるのは、この精霊棚を飾るためです。
テーブルや経机で作った精霊棚に真菰(まこも)を敷き、その上に、小型のお膳や・蓮の葉・かわらけにお供え物をのせ、真菰や藁で編んだり、キュウリやナスで作った牛と馬を飾ります。お供え物は精進の物(そうめん・枝豆。トウモロコシ。なす料理など)夏の食卓を飾りご先祖様(故人)をおもてなし出来る物がよいでしょう。牛や馬を飾るのにも色々な説がありますが、旅疲れしているご先祖様を馬に乗せ、荷物を牛に背負わせるためと言われており、これもやはり、お迎えとお送りするためのおもてなしをする心から来ています。
お位牌は全て仏壇から出し、真ん中の奥に飾ります。位牌は古い(覚りの位が高い)仏様から順に向かって左側(関東では左が上位)より並べ、新盆のお位牌は少し手前の真ん中に飾ります。そして香呂・燭台・打ち鳴らし(金)の三具足を並べます。
地域によっては留守中のお墓を守るため、亡者や餓鬼(浮かばれぬ霊)・悪霊がお墓の中に入り込まぬように、夕方にお線香を持ってお墓のまわりを回る事により、見回りをする留守参りをする習慣があります。
日本には古くから祖霊信仰があり、夏になると川原で霊を感じる民族であるため、ご先祖様の居心地が少しでも良くなるように、川原に生えている真菰や笹・鬼灯・狗尾草などを飾り、おもてなしをするのです。ご先祖様は元々は皆様の家族ではありますが、現在は覚りの世界で親族をご加護する仏様であるため特別なおもてなしをするのです。
お盆の期間中は、他人に対しても常におもてなしの心(他を気遣う心)を持つ事が大切であり、日本人がその心を養うための大切な習慣であり行事なのです。私たちが作りあげてきたその習慣を、子や孫に引き継ぎ養わせることにより、慈愛にあふれた国(世界)を作りあげて行きたい(生きたい)ものです。
 

残したい昔からの風習

残したい昔からの風習
 
ガラガラ
【ガラガラ膳】お盆が始まる前に、お墓のお掃除をして、ご先祖様を迎える準備をします。
写真はガラガラと青竹で出来た花(樒しきみ)立です。ガラガラ膳などとも呼ばれ、十字に組んだ青竹にマコモで四角く編んだものを墓地や軒先の地面に差して組んだものです。お盆の供物を乗せたり、お線香をたいてご先祖様が迷わないように用意します。また、ご先祖様が長旅の疲れをいやすための腰かけとも言われております。
当山のある足立区や、近郊の埼玉県南東部吉川、三郷、千葉県北西部地域ではガラガラ膳を用意する習慣が残っています。
 
結界 けっかい
 
結界】お墓の前に竹を立てて縄を渡し結界をつくっているお檀家さんがいらっしゃいます。青竹や笹を購入し、お墓の入口左右に立て、その上を真菰縄で結びます。これは、ご先祖様(故人)の霊以外は入れないための結界になります。
お盆の期間はご先祖様が家に帰ってきている為、お墓は留守になりますので、餓鬼や悪霊などが入って来ないようにと結界をしているのです。そして地域によっては12日(又は13日)のご先祖様が自宅に帰られている間には、留守参りと言ってお線香を手に持ちお墓のまわりを回ります。留守中のお墓を守るため、これもやはり、亡者や餓鬼(浮かばれぬ霊)・悪霊がお墓の中に入り込まぬように、夕方にお線香を持ってお墓のまわりを回る事により、留守参り(見回り)をする習慣があります。
 
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