本堂建立記録

   
 平成26年3月に、東日本大震災による屋根裏床下等の未調査部分の被害もふまえ、ご本堂全体の現状調査を実施いたしました。国の発表に基づき東海大震災・東南海・南海連動型地震に備え、また瓦も寿命をむかえておりますので、当初は修繕改修及び耐震施工を行う予定でございました。大手建設会社二社に調査を依頼したところ、被災部分も多数発見されましたが、それどころか耐震施工を施しても十分ではなく、その後五十年から六十年で建替えを余儀なくされる可能性があり、今後予想される大地震での倒壊の恐れさえも指摘される結果が出されました。ご本尊様をお守り頂くためにも、また当山にご法要・参拝・墓参等のためにご来寺される檀信徒の皆様の安全の確保のためにも、役員会に於いて厳粛に審議した結果、ご本堂を建替えることと決定いたしました。
 
 
フォーム
 
瓦葺き工事が完了しました
7月から始まりました瓦葺き工事も11月の中旬頃ようやく終了し、完成致しました。瓦屋さんに特別に屋根の上からのアングルで写真を撮って頂きました。当山の瓦屋さんは夏の猛暑の中も休むことなく、毎日屋根の上で一生懸命に作業をして下さいました。以前にもアップ致しましたが、岐阜県の美濃瓦を使用しており、この瓦は1200度の高温で焼き、その煙で燻し上げる「燻し瓦」なので、一枚一枚に反りが大変強く出ます。当山の大窪瓦店さんは、その瓦の反りを全て測定し、反りの少ないものを選び抜き丁寧にそろえながら葺き上げて行きました。そのため大変な根気と時間が必要とされるため、「瓦屋泣かせ」とおっしゃっておりました。(写真右)の大棟をご覧いただきますと、その反りがよくわかりますが、それをうまく利用して葺き上げており、独特な紋様を生み出しております。しかしこの美濃瓦は、粘土質が他の地域と違うため、大変耐久性があり、奈良の「東大寺大仏殿」にも使用され、一千年前の瓦が今でも一部使用されております。又、当山の鬼瓦は全部で15の鬼がのっていますが、すべての鬼の口や牙がきれいに見えるように丁寧にそろえながら施工をしています。当然のように思われるかもしれませんが、なかなかここまで丁寧に葺き上げるのは大変なようです。鬼瓦の上に反って長く突き出した円筒状の瓦は角ではなく、「鳥衾」(とりふすま)と言うそうで、水鳥が水面に体ごと頭を突っ込み、エサを探しているときの尾っぽの先と言われております。その尾っぽの下は水の中であり、火災になる事は絶対にないという、縁起を担いでいるものだそうです。ここにも、日本の木造建築が、当時使われていた灯明の油と地震、落雷等により火災に苦しめられ続け、その災いを少しでも避けたいという当時の人々の想いが垣間見られます。その想いが現代の寺院建築に、今も歴史と伝統として引き継がれています。
 
造作工事
2016-11-20
瓦葺きの工事が続いてアップされましたが、大工職人の方々も先月から増員されております。本堂外側の板壁、下見壁(したみかべ)を造ったり、天井を張ったりと朝早くから暗くなるまで工事が続けられております。実際に天井が張られると、外陣は舟底天井・内陣は折り上げ天井のため、通常より高く、空間が大変広く感じられます。また、電気工事の職人の方々により、照明が付けられ堂内が明るくなりました。そして、壁を塗る左官職人の方々も下地造りが終り、いよいよこれから白壁が塗られていきます。他にも本堂屋根に設置する避雷針工事の方々など多種多様な職人さんが入っています。照明の色や、換気扇の位置、配線の位置、床の種類、佛具を設置するための高さや配置決めなど、これから決めなければならない事が沢山あります。手間は掛かりますが、失敗がない様に常に現場合わせを行い、決定していきますので、安心して進めて頂くことが出来ます。12月のご本堂竣工まで追い込みで工事が行われて行きますので、日に日に完成に近づいていきます。
来年の年明けからは外構工事が始まりますので、5月3日の落慶式間際まで続くことが予想されます。
檀信徒の皆様におかれましては、ご理解ご協力の程よろしくお願い申し上げます。
 
瓦葺き工事 10月
9月の瓦葺き工事も順調に進み、平瓦と平瓦の間に丸瓦を葺いて本葺きに成って行きます。きれいな曲線が出る様に、丸瓦も一枚一枚歪みを測定し、漆喰を使い調整しながら丁寧に葺いて行きます。現代の漆喰はシリコン入りで防水効果もあり大変長持ち致します。「美濃瓦は1,200度の高温で焼き上げるため、歪みが有り瓦屋泣かせだ」と、おっしゃっておりました。いつも下から見上げていましたが、お忙しいところお願いして上から写真を撮って頂きました。写真一枚目と三枚目は正面の大降り(おおくだり)です。この部分が一番雨漏りが起こりやすく、雨水が入り込むと、瓦の下の野地板が傷んでしまいます。大降りは勾配がだんだん緩く成って行きますので、瓦に雨の返しが有っても雨水が入り込む(雨の流れが急に抑えられるため)ため、瓦と防水シートの間に10尺程の銅板を入れ、さらに軒先の瓦は二尺の「長びら」と言う瓦で重なる部分を倍の長さにし、それを防いでおります。ここまで念入りに施工して頂ける瓦屋さんは、めったにないそうです。
「瓦屋根が百年間葺きつづく様に、魂を込めて作業をしています。」大窪瓦店談
本堂工事進行状況は瓦工事を中心に更新しておりますが、大工さんも毎日朝早くから来て作業をして下さっています。工場での内部の造作物の作成や、現場での剛天井張り、建具の上に入る長押(なげし)の施工、本堂外側の壁「下見壁」の施工をしたりしております。また改めてご報告させて頂きます。
 
鬼瓦が揚がりました
ついに鬼瓦が屋根の上に揚がりました。写真左は東側の鬼瓦正面の写真を、足場に登って瓦屋さんに撮って頂きました。東側は実際は斜め後ろから見る形になります。親水公園まで行かないと、建物に遮られ正面からはからは見えません。写真中は西側の鬼瓦です。福寿院駐車場入り口側からすぐに目にすることができます。夕方になると夕日が当たり、紅く浮き上がりとても綺麗です。鬼瓦にはそれぞれ、落慶の日と住職名が刻まれています。
 
鬼瓦勢ぞろい
岐阜県の美濃瓦工場から、江戸時代以降の角が付いた「出鬼面」の鬼瓦に対し、中村先生が描いて下さったのは奈良時代以前の「古代鬼面」の鬼瓦です。これが焼き上がり無事に届きました。本葺きの鬼瓦にはこの古代鬼面の鬼瓦がご本堂の屋根を飾ります。棟部分の端からの雨水の浸入を防ぐ役目と、その隙間から禍(わざわい)が入りこまぬように、鬼が魔を祓い災害等から寺(ご本尊)を守る意味があります。屋根の最上部の大棟の鬼瓦は左右に一つずつ(今年3月の瓦検査で紹介した側面に住職が名前を刻んだ物)、そして前後の大降りの降り棟(くだりむね)にはの左右に鬼瓦が一つずつと計四つ、屋根四隅の隅棟の前部分には一の鬼が、その後ろには二の鬼と計八つ、さらにご本堂後側の破風(はふ)の棟の鬼瓦一つと、全部で合計十五あります。ずらりと並んでいると圧巻です。
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