本堂建立記録

   
 平成26年3月に、東日本大震災による屋根裏床下等の未調査部分の被害もふまえ、ご本堂全体の現状調査を実施いたしました。国の発表に基づき東海大震災・東南海・南海連動型地震に備え、また瓦も寿命をむかえておりますので、当初は修繕改修及び耐震施工を行う予定でございました。大手建設会社二社に調査を依頼したところ、被災部分も多数発見されましたが、それどころか耐震施工を施しても十分ではなく、その後五十年から六十年で建替えを余儀なくされる可能性があり、今後予想される大地震での倒壊の恐れさえも指摘される結果が出されました。ご本尊様をお守り頂くためにも、また当山にご法要・参拝・墓参等のためにご来寺される檀信徒の皆様の安全の確保のためにも、役員会に於いて厳粛に審議した結果、ご本堂を建替えることと決定いたしました。
 
 
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岐阜県~富山県 「瓦検査・彫刻検査」 1日目
2016-03-14
岐阜県の美濃瓦工場に鬼瓦検査に行ってまいりました。美濃瓦は岐阜県の良質な土に恵まれ、その土で成形した瓦を乾燥させそして6日間1200度の高温で焼き、次の工程でいぶすという高度な技術と手間をかけて制作される瓦で、耐久性・耐寒性に優れ、奈良県の国宝東大寺大佛殿や大本山池上本門寺にも使用されています。福寿院ご本堂もこの美濃瓦を使用し、本瓦葺きの屋根になります。今回は、中村設計の池田先生、助政建設の棟梁と現場責任者のお二人、そして瓦を葺く大窪瓦店の方とまいりました。ここに来た目的は本瓦葺きの一番の見せどころである「鬼瓦」の確認と、その側面に住職の名前を刻むという大事な作業のためです。瓦の職人さんの中に鬼瓦を専門に制作する方がおり、「鬼師」と呼ばれるそうです。福寿院の鬼瓦のデザインの原画はなんと設計士の中村先生が描きました。中村先生はご本堂の彫刻類、飾り金物、そして鬼瓦等、全てをデザインし原画を描ける大変貴重な方で、その評価も大変高い方です。その鬼瓦、「古代鬼面」の原画に基づき鬼師の方が中村先生の指示通りに制作され、この日も池田先生が中村先生の指示を正確に伝え「もっと鬼の鼻の段差をなくしてくれ,まわりの彫りを深くしてくれ」等の修正が施されました。古代鬼面の「鬼瓦」には角がなく、古くからの「寺には鬼が居ない」という、言い伝えどおりの大変素晴らしい「鬼瓦」ができ、乾燥し焼く前のまだやわらかい鬼瓦の側面に、住職の名前とご本堂の完成予定日(落慶式)を記しました。
 
工事の打合せ
2016-03-04
本堂建築が始まる前から何度も設計事務所、建設会社の方と打合せをしています。今日は中村設計事務所の池田主任、助政建設の伊藤現場責任者との打ち合わせです。今回は、基礎工事の後の工程、建築現場の養生と建方(たてかた)について話し合いました。建方とは木造建築では、土台・柱・梁・小屋組を組み上げる、棟上げまでの作業を言いますが、それに使う虹梁(こうりょう)や肘木(ひじぎ)向拝に使う海老虹梁(えびこうりょう)等たくさんの構成材に中村先生の彫刻が入ります。彫刻を進めている伝統工芸士の澤氏が「中村先生の絵が素晴らしいので、今回は全て自分の工房で彫りたい。」と、ご要望がありました。荒堀以外の仕上げに他の工房を頼まず、全て自分の工房で仕上げると作品がより統一されるそうです。そのためには一ヶ月半ほど余計に時間がかかるそうで、建方まで少し工事の工程が遅れることになりました。ご本堂の完成自体は余裕を持っているので、今のところ変更はありません。そしてご本堂の屋根の縁端を飾るために、軒丸瓦(のきまるがわら)の端につける瓦当(がとう)と呼ばれる飾板を見せて頂きました(写真右)。蓮弁(れんべん)のまわりに数珠が連なっている「数珠掛けの蓮弁」の素敵なデザインです。今月の中旬には、中村先生が描いた特注の「鬼瓦」の検査があり、岐阜県の工場まで同行し立ち会う予定です。
 
基礎工事完了
2016-03-01
 昨年12月から地盤改良が始まり、捨コン打設工事、配筋工事、基礎打設工事、布基礎打設工事と順調に進み、ようやく全ての基礎工事が完了致しました。設計士の先生が耐震等も考慮して、一般の木造建築はもとより、同じ間口六間のご本堂の基礎と比べてもかなり頑丈に造られています。これからの工事日程は、春のお彼岸明けまでの間(一ヶ月以上)コンクリートを十分に養生し、それから足場を組み、彫刻の進行に合わせ、四月中旬頃には建方の工程に入る予定です。建方は 約二か月間かかりますが、これによりご本堂全体の大きさや構造、天然の木曽檜の丸柱、梁や妻の彫刻等、だんだんとご覧頂ける様になってまいります。ご来寺されるたびに進行してまいりますので、楽しみにして頂ければ幸いです。お彼岸の間は大きな工事はありませんが、ご来寺の際は十分お気を付けください。
 
彫刻検査 富山県
2016-02-22
富山県の井波に彫刻検査に行ってまいりました。今回、住職は急な仕事が入り、当山からは名誉住職夫妻、設計事務所の池田主任、助雅建設の方々との視察となりました。基礎工事がまもなく終了すると、足場が組まれ、いよいよ「建方」の工程に入ります。写真左は、澤 義弘氏の工房で、澤氏を中心に弟子の方々が急ピッチで建方で必要な材木に彫刻を彫っているところです。澤氏については「虹梁検査」のページで紹介させて頂いておりますが、彫刻の里「井波彫刻伝統工芸士会」で、大変活躍されている方です。写真中央の彫刻は向拝の彫刻で、大変立体的で美しく仕上げられています。設計士の中村 詔雄先生の原画が忠実に立体的に再現されて行きます。写真右は澤彫刻店の倉庫での視察風景です。ご本堂の彫刻を施される材木は、すべてこの大きな倉庫に運び込まれています。予定より少し遅れて、三月のお彼岸が過ぎてから足場が組まれ、四月中旬には建方が始まる予定です。
 
植木のお引越し
2016-02-16
基礎工事も順調に進み、布基礎の型枠工事に入りました。平面だったものが、型枠が入ることにより大体の間取りや広さが分かります。布基礎の打設(コンクリート打ち)が終わると、しばらく養生をし、建方のために足場を組むことになります。旧ご本堂よりひとまわり大きくなる分、周りの通路が狭くなるので、足場を組む前にご本堂前の梅の木を移動する事になりました。植木屋さんが言うには、「葉が出てきて水をグングン吸う前に移動した方がいい」という事です。せかっく一つ二つ咲き始めた梅の木ですが、今のうちにお引越しです。
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