岐阜県の美濃瓦工場に鬼瓦検査に行ってまいりました。美濃瓦は岐阜県の良質な土に恵まれ、その土で成形した瓦を乾燥させそして6日間1200度の高温で焼き、次の工程でいぶすという高度な技術と手間をかけて制作される瓦で、耐久性・耐寒性に優れ、奈良県の国宝東大寺大佛殿や大本山池上本門寺にも使用されています。福寿院ご本堂もこの美濃瓦を使用し、本瓦葺きの屋根になります。今回は、中村設計の池田先生、助政建設の棟梁と現場責任者のお二人、そして瓦を葺く大窪瓦店の方とまいりました。ここに来た目的は本瓦葺きの一番の見せどころである「鬼瓦」の確認と、その側面に住職の名前を刻むという大事な作業のためです。瓦の職人さんの中に鬼瓦を専門に制作する方がおり、「鬼師」と呼ばれるそうです。福寿院の鬼瓦のデザインの原画はなんと設計士の中村先生が描きました。中村先生はご本堂の彫刻類、飾り金物、そして鬼瓦等、全てをデザインし原画を描ける大変貴重な方で、その評価も大変高い方です。その鬼瓦、「古代鬼面」の原画に基づき鬼師の方が中村先生の指示通りに制作され、この日も池田先生が中村先生の指示を正確に伝え「もっと鬼の鼻の段差をなくしてくれ,まわりの彫りを深くしてくれ」等の修正が施されました。古代鬼面の「鬼瓦」には角がなく、古くからの「寺には鬼が居ない」という、言い伝えどおりの大変素晴らしい「鬼瓦」ができ、乾燥し焼く前のまだやわらかい鬼瓦の側面に、住職の名前とご本堂の完成予定日(落慶式)を記しました。