4月8日はお釈迦様の誕生をお祝いする日です。
毎年、本堂の中に花御堂(はなみどう)をお祭りしておりましたが、檀信徒の皆様に広く知って頂き、お参りして頂けるよう、今年から本堂前の向拝にお祭りする事に致しました。
「花御堂」とは、花で飾った小さなお堂に、お釈迦様の像を甘茶で満たした灌佛盤(かんぶつばん)にお入れして祭ったものです。この小さな尊像に甘茶をかけてお釈迦様の誕生を祝います。
花まつり
今から2500年ほど前、インドの北の方にカピラという小さな国がありました。王様のスッドーダナ様とお妃のマーヤ様は、国の人々に尊敬され、幸せに暮らしていましたが、ひとつだけ悩みがありました。
それはまだ王子様がいないことでした。王様もお妃様も、毎日、王子の誕生を祈っておられました。
ある夜の事です。マーヤ様は、六本の牙のある白い象が、おなかの中に入ってくるとという不思議な夢をごらんになりました。アシダ仙人を呼んで聞いてみると
「まもなく王子様がお生まれになります。」とおっしゃいました。
春になって、マーヤ様は里帰りする途中、ルンビニーの花園でお休みになられました。ここで元気な玉のような赤ちゃんをお生みになりました。この時、何と空から甘露の雨(甘く清らかな雨)が降りそそぎ、王子様の体を清めました。
その王子様がお生まれになった日が4月8日です。
甘露の雨が降ってきたという言伝えから、小さなお釈迦様の像に甘茶をかけてお祝いをするのです。
お生まれになった王子様はすぐに七歩あるかれ、右手は天を、左手は地をさして、
「天上天下唯我独尊」(てんじょうてんげゆいがどくそん)とおっしゃったと伝えられています。
これは本当に七歩あるいて言葉を発せられたというよりも、お釈迦様のこの言葉と行動に教えが込められていて、2,500年もの間言い伝えられているのです。「天にも地にも自分のいのち(生命)はたった一つで貴重で尊いもの(大切なもの)」という意味で「生きとし生けるものの命はすべて(こんな小さな赤子の命でも)たった一つで貴重で尊いもの」「自分だけでなく、全てのいのちを大切にして、他を思いやる心(慈しみの心)をもちなさい」という教えで、七歩あるいたのは、人は誰でも自分の足で歩むことが出来、この世の人々は本来全て平等であるという教えです。
王子はシッダルタと名づけられ、立派に成長しました。しかし王様にはならず出家し、つらい修行をし、この世の中を見つめ、覚りを開かれ、お釈迦様=ブッタ(目覚めた人)となって、たくさんの人々をその教えで救ったのです。
このお釈迦様の誕生をお祝いするのが花まつりです。
日本人の他を思いやる心は、この慈しみの心から来ており、1500年前に伝わったお釈迦様の教えが古くから日本人の心に宿っているのです。、最近外国人の旅行者に驚かれる日本のおもてなしの心も、このお釈迦様の教えが日本人の心に強く根付いている(宿っている)からではないでしょうか?。