2016年4月19日のブログでは、本堂左脇の間に安置する大日如来の制作をご依頼している佛師(仏像彫刻師)の先生をご紹介致しました。今回は本堂右脇の間に安置される不動明王の制作をご依頼いしている佛師 渡邉雅文(わたなべまさふみ)先生をご紹介させて頂きます。
翠雲堂営業担当の宮川さんより「渡邉雅文先生より、ご依頼の不動明王の粘土原型が出来たのでご住職に確認して欲しい」と連絡が入り、千葉県野田市に工房を構える渡邉師の工房へ行ってまいりました。
渡邉雅文先生はお若い方で、仏師 渡邉貞光師を父に持ち、その父と仏師 長谷法寿師に師事し仏像彫刻を学びました。平成9年に独立され、現在翠雲堂さんのご依頼を中心されているため大変お忙しいようです。当日は奥様と出迎えて下さり、大変やさしい雰囲気の方だと感じましたが、粘土原型は素晴らしい忿怒の形相をしていました。最初に拝見した時は少し小さいかなと感じましたが、実際完成すると岩座と火焔光背(かえんこうはい)等が合わさり、ご本尊様を中心に、左の大日如来は坐像、右の不動明王は立像のため左右のバランスが良くなる事を、ご本堂の完成図をもとに再度確認致しました。
そして、一番難しいのが佛像の眼です。画竜点睛(がりょうてんせい)を欠くと言いますが、粘土原型にはまだ眼が入っておりません。眼を入れると言っても色々な技法があるそうで、眼を彫る技法と、彫って描く技法、玉眼(ぎょくがん)ガラスや水晶を裏側からはめ込む技法があります。当山の不動明王は白木仕上げのため玉願だと顔の横に僅かに切り目が残ってしまうため筆で描く技法に致しました。渡邉氏は箟(のみ)のタッチ、箟跡が綺麗だと定評があり、工房では写真に写っている文殊菩薩様と普賢菩薩の作品を拝見することで、その美しい仕上がりを実際に見ることが出来ました。代表的な作品には豊山派大本山護国寺の大日如来坐像や、総本山久遠寺の日蓮聖人坐像などがあり、数々の寺院の佛像を手掛けております。最終的な仕上げの前に当山にお不動様をお持ちくださるそうで、今からその時が楽しみです。素晴らしいお不動様が納められる事と案じております。